ニコチン依存症と麻薬(簡単な禁煙法)

2021年3月21日

禁煙

タバコの煙に含まれるニコチンはヘロインやコカインよりも依存性の高い物質だと言われています。このような断片的な情報だけを見ると禁煙はとんでもなくハードルの高い物だと考えてしまいますが、それは大きな間違いなのです。私はニコチン依存症者はまるで麻薬中毒者だとニコチンのメカニズムで書きましたが、ニコチン依存症者をヘロインやコカインの依存症者と同じように分類するべきかどうかにはあまり関心がありません。そもそもヘロインやコカインよりも依存性が高い、つまりはそれだけニコチンが止められない薬物だと言われても比較する事自体がおかしいでしょう。時に統計といったデータは人を欺こうという目的で使われる事があります。例えばニコチン依存症者10人とヘロイン依存症者10人に対し依存症を改善する為の治療をしたとします。ニコチン依存症者は4人改善したが6人は依存したまま、ヘロイン依存症者は8人改善して2人は依存したままだとします。この数字だけでニコチンはヘロイン以上に止められない高い依存性を持つ麻薬だと言われたら一瞬信じてしまいそうになりますよね。でもちょっと考えるとやはりおかしい事に気付きます。

突然病院から電話が掛かってきて「貴方のご家族がヘロインの乱用で救急車で搬送されました」と言われたらビックリするし、信じない、信じたくないでしょう。しかしそれが事実であれば、取り返しがつかなくなる前に直ぐにでもどうにかしなければと真剣に考える筈です。一方で「貴方のご家族がタバコの吸い過ぎで救急車で搬送されました」、肺癌でも脳卒中でも無く単にタバコの吸い過ぎで気分が悪くなっただけだというオチだったら呆れる他ない。つまりは同じ依存症でも緊急性が大きく異なれば数値での比較に全く意味がなくなります。癌患者より虫歯を持つ人の方が多いから虫歯は癌より治療の難しい難病ですと言うようなものです。

ニコチン依存症者は癌のような重病でも患っていない限りは依存治療にそれほど真剣にはなれないし、依存症者の家族にも同じ事が言えます。ましてや違法薬物と違いニコチンの元であるタバコは成人なら合法であり入手も容易なのだから、一旦依存症から抜け出したとしても再び手を出しやすい環境にあるので誘惑に負けてしまう人も多い。禁煙者が再び喫煙者に戻れば罪悪感はあるでしょうが、こっそり一人で吸い続けるなら自己責任で完結する話です。しかし違法薬物の依存症者はニコチン依存症者の様にはいきません。違法薬物がもたらす幻覚などの症状は他人を不幸に巻き込む可能性も十分にあるからです。家族や社会の対応も大きく異なり場合によっては隔離病棟で一時的に監禁されるかもしれません。これはニコチン依存症者では絶対ありえない話ですね。それを踏まえた上でニコチン依存症とヘロインやコカインといった違法薬物の依存症を比較した際、ニコチンの方が本当に依存性が高いと言えるのだろうか?私はヘロインやコカインといった薬物を使った事が無いしこの先も使う機会は無いでしょう。だからどっちが依存度が高いかを体感で比較して語る事は出来ませんが、ニコチンの方が高いという断片的なデータを強調する行為には疑問を覚えます。

「ニコチン依存症患者は重病者であり病院で薬も含めた治療を行わなければ簡単には治せない病気だ」と吹聴すれば儲かる人達がいます。直ぐに思い付くのは依存症の治療を行う医師ですが、製薬会社も無視出来ない存在です。確かに何の知識もなく禁煙を行えば大概は失敗するし既に失敗してきた人は多いでしょう。そんな人に簡単にタバコを止められる薬がありますよと囁けば思わず飛び付いてしまうのも分かります。しかし残念ですが今の所は魔法の薬や魔法のアイテムは存在しません。例えばニコチンガムやニコチンパッチという禁煙補助薬がありますよね。テレビCMもやっているから認知度は高いでしょう。しかし結局はニコチンを摂取する訳だからタバコの習慣性には効果があってもニコチン依存症の治療としての効果は疑問です。タバコ依存は脱したが今度はニコチンガムが止められなくなったという人も少なくないようです。煙を吸うよりはマシだと一見思いますが、再びタバコに戻ってしまう事例も多いとも聞きます。他にチャンピックスが有名ですが、これは絶対に止めておいた方がいい。もし重病でもない限りはチャンピックスをやるぐらいならタバコを吸い続けるべきです。どうしてかは副作用をキーワードに検索してみて下さい。

タバコ依存症

タバコ依存症とニコチン依存症との関係についても書いておきます。えっ、どっちも同じ意味でしょと思うかもしれませんが、タバコ依存症とニコチン依存症はここでは別の症状として扱っています。喫煙者が朝起きたらまず最初にタバコが吸いたくなるという話は何度かしてきましたが、この感覚は典型的なニコチン依存症の症状として説明出来ます。6時間だか7時間だかの睡眠中はニコチンが切れていたのだからニコチン依存症者がニコチンを欲しくなるのは当然でしょう。しかしタバコを吸いたくなる衝動の中にはニコチン依存症では説明出来ない事例が幾つかあります。例えば食後の一服。ニコチンが脳内に作用してドーパミンを放出させ報酬感や達成感を喫煙者に与える仕組みはニコチンのメカニズムで書きましたが食事という本来幸せな行為の後にニコチンが欲しくなるメカニズムが説明出来ません。例えば食事が不味かったとします。凄く不味い食事で不快でストレスだったらニコチンが欲しくなる衝動は納得いきますが、凄く美味しい料理であっても食後に一服するでしょう。食後が丁度前回の喫煙から1時間ほど空いていたというなら納得ですが、食事が10分で終わろうが30分掛けようが前回の喫煙から空いた時間に関係無く食後に吸いたい筈です。しかし不思議と食事中に吸いたいと思う事は特殊な場合を除けばまずありません。

私は特定の状況に対して喫煙したくなる衝動、自然に喫煙している行動を習慣的タバコ依存症と名付けて定義しています。そしてこの習慣的タバコ依存症は単なる癖だと思っていたら意外にやっかいな存在です。過去の私の場合、朝起きたらまず1本タバコを吸います。これはニコチン依存症からくる行動でもありますが習慣的タバコ依存症による行動でもあります。そして大便の時や後にもやはり吸うし、コーヒーを飲んでいる時にも吸う。これは前回の喫煙から空いた時間に関係無く吸いたくなるのだからニコチン依存症とは明らかに別なのです。そしてその逆も。全く吸いたいと思わない場所や行動、例えば少し上に書きましたが食事中に吸いたいと思う事はありませんでした。レストランで次から次に出てくるご馳走をたっぷり時間を掛けて食べたとします。いつもなら前回の喫煙からタバコを吸いたいと思う間隔が空いていても、ご馳走を食べている私はタバコの事など頭に無い筈です。そして食後に、ふと吸いたいとタバコの事を思い出すでしょう。他にも入浴中に吸いたいと思った事もありません。私はかなりの長風呂ですが、やはり頭の中にタバコの事なんて微塵もありませんでした。つまりタバコを吸いたいという感覚や衝動はニコチン依存症だけでは説明出来ないし、吸いたい気持ちはかなりの部分はコントロール出来るものだと考えるべきです。

ここから再び麻薬の話に少しだけ戻ります。ニコチンはヘロインやコカインより依存性が高く簡単には止められないって?本当に?この話を嘘とは断言出来ませんが、どのような方法で計測してそう言い切っているのか疑問です。ニコチン依存症者の禁煙の意思は「このまま吸い続けるといつか病気になりますよ」と「肺気腫が進行しています、このまま吸い続けると酸素吸入器に一生お世話になる未来が待っています」では絶対的に決意の差が違うのです。健康の為にタバコを止めましょうでは中々止められない人が多いのは事実ですが、緊急性が高い場合はタバコをあっさり止められる人は非常に多い。これは完全に自分を見失った違法薬物の乱用者とは大きく異なる部分です。そう、タバコ依存症、ニコチン依存症は自分でコントロール出来る依存なのです。この事については関連ページで深く掘り下げていきます。

簡単な禁煙法の関連ページ

※上のページは約6年前に制作したサイトから転載した物になります。