砂糖の有害説を考える

2021年5月1日

砂糖の有害説

砂糖は体に悪いと最近よく聞くようになりましたが、実は筆者が子供の頃から砂糖の有害説は存在しました。しかし一方で砂糖有害説に対して疑問を呈する記事も数多く見られます。専門家であっても有害説を強く唱える方もいれば、その逆の意見を持つ方もいます。一体真実はどちらなのかをこのページでは考えていきます。

砂糖とはそもそも何なのか

基本的に糖と言えば多くの人が白砂糖を思い浮かべる筈です。白砂糖の殆どの原料はさとうきびで、一部ではてんさいという野菜を原料にしている事もあります。さとうきびから白砂糖を作る工程は、さとうきびを細かく切り砕いて汁を搾り、その搾り汁に石灰乳を加えて加熱した後に不純物を取り除き最終的に結晶のみを取り出した物が白砂糖になります。昔、白砂糖の製造では「人体に有害な漂白剤が使われている」といったデマがありましたが、そのような事はありません。

白砂糖よりも茶色い色が付いた三温糖も製造工程は白砂糖と殆ど同じです。白砂糖を作る工程で出来た糖液を何度か煮詰めて結晶を取り出したのが三温糖となりますが、色が付いているのは加熱で糖が分解される事によるものです。栄養価においては三温糖の方が白砂糖よりカルシウムなどのミネラルが若干多く含まれていますが、殆ど意味の無い差となっています。

黒砂糖(黒糖)も白砂糖と途中までは同じような製造工程で作られていますが、白砂糖や三温糖との大きな違いとしては分離精製を行わない事で、不純物とされる物が多く残っています。さとうきびの汁を濃縮した物だと思って良いでしょう。不純物とされる物は実は元々さとうきびに含まれていたミネラルで、カルシウムやマグネシウム、亜鉛、銅といった必須ミネラルが含まれています。同じ砂糖でもミネラルが多く含まれている黒砂糖が良いのは間違いありませんが、味においては甘味の他に苦味もあり白砂糖のように幅広い使われ方はされていません。

糖質は人間の生命維持に必須

人の生命維持に必要な三大栄養素はタンパク質、炭水化物、脂質ですが、その中の炭水化物は糖質と食物繊維を合わせた物を指します。つまり砂糖も含め糖質は人が生きていく上で必要な栄養素で、体内に取り込まれた糖質はブドウ糖に分解されエネルギー源として使用されます。人体の臓器の中で最もエネルギーを消費するのは意外にも脳で全体の約20%に相当します。よく砂糖を摂取した方が脳の働きが良くなるとか、ブドウ糖が主原料の森永ラムネが仕事や勉強に良いと言われているのはこの事からなのですね。

しかし摂取した糖質の内、エネルギーとして消費されなかった余剰分は脂肪として蓄えられます。つまり糖質の取り過ぎは肥満に繋がる訳です。最近では炭水化物(糖質)制限ダイエットというものが流行っていますが、普段の生活に支障が出ない程度に糖質の摂取を抑える事が出来れば余分な脂肪が付くのを抑える事が出来るので理に適っていると言えます。

さて、糖質は人が生きていく上で必須ではありますが、そもそも白砂糖が必要なのかとなると話は変わります。砂糖がエネルギー源として優秀なのは事実ですが、私たちは普段の食事で多くの糖質を摂取しています。日本人の主食であるお米は勿論の事、パンや麺類も炭水化物であり糖質を含みます。果物の果糖も糖質ですし、芋にだってでんぷんという形で多く含まれています。そうなると極端な食生活を送っていない限り、糖質が足りないという事は殆ど無いでしょう。むしろ現代の食生活においては過剰気味になっている事の方が多いかもしれません。糖質そのものを全て断つ事は出来ませんが、白砂糖を断つ事で健康に悪影響が出る事は考え難いですね。つまり普段の生活において砂糖の摂取は必要無いと言えます。

幾つかの砂糖有害説

砂糖の印象を悪くしている一つとして糖尿病が挙げられます。食事によって体内で分解された糖質はブドウ糖になり血液で全身に運ばれます。この血糖値が上がっていく中で一定値に達すると通常は膵臓からインスリンが分泌され上昇した血糖値を下げて正常な水準へと戻しますが、糖尿病はこのインスリンの働きが悪くなる事やインスリンの分泌が足らず、高血糖の状態が長く続く事を指します。一見糖尿病は砂糖の取り過ぎが原因のように思われがちですが、砂糖を含む糖質全般や暴飲暴食、運動不足も糖尿病の原因となります。また、2型糖尿病においては遺伝の要素も大きい為、砂糖の過剰摂取も原因となりますが砂糖だけが原因という訳ではありません。

砂糖には依存性がある事も知られています。実際に筆者も一時期は大量に砂糖が入った炭酸飲料を良く飲んでいたし異常に飲みたくなる衝動がありました。一部ではタバコやお酒と同じぐらい依存性があるという説もありますが、自身の体験上では大量の砂糖が入った清涼飲料水を飲む習慣を見直す事はそれほど難しい事ではなく、禁煙とは比にならないほど簡単に断つ事が出来ました。

他にも砂糖は骨を溶かすという説に関してはかなり疑問があります。まず砂糖で虫歯になるのは虫歯菌が砂糖の主成分であるショ糖を代謝する際に出す酸が原因で砂糖そのものが歯を溶かす訳ではありません。また、「骨を溶かす」という理論においても「砂糖は酸性食品で酸性を中和するために骨のカルシウムが使われる」とか「砂糖の代謝の過程で作られた乳酸を中和するためにカルシウムが使われる」というそれらしい話をネットで目にしますが、この理論には信憑性がありません。精糖工業会のサイトではこれを全否定しているFAQが掲載されています。

また精神面において、子供がキレやすくなるという説もあります。この理論では砂糖で血糖値が急上昇した後にインスリンの効果で急低下して低血糖状態になり、脳機能の低下でイライラやうつを引き起こすという話。この説もちゃんとした調査が行われた話は全く聞かないし、砂糖だけを槍玉に挙げる事には疑問です。そもそも自身の子供時代で多くの砂糖が含まれる清涼飲料水を飲んだりお菓子を食べた事でイライラしたりキレやすくなったという自覚は一切ありません。

砂糖有害説の纏め

砂糖の影響に関しては不明な部分やデマも多い為、絶対にどうとは言えない所もありますが、糖質自体は必須栄養素ではあっても白砂糖や白砂糖が使われている食品の取り過ぎが健康に良くないのは事実です。また、普段普通にお米や麺類を食べていれば砂糖で糖質を補う必要性は無い筈です。しかし砂糖有害説には信憑性が低い話も多くあるので極端に砂糖を毛嫌いする必要は無いと考えています。たまに甘いスイーツを食べて幸福感を味わうのは、節度さえあれば問題ないでしょう。

気を付けないといけないのは知らず知らずに多くの砂糖を摂取している事ですね。特に清涼飲料水は多くの砂糖が含まれていますし、意外にも缶コーヒーも無糖じゃない限りは多くの砂糖が含まれています。砂糖じゃなく糖質でも必須栄養素とは言え取り過ぎれば病気の原因となります。また、砂糖とは異なる糖類や人工甘味料の話は別の機会に記事にする予定です。